太陽熱・雪の融解潜熱を用いた木材乾燥施設
施設内で長尺材を乾燥させている様子
夏季は高温多湿、冬季は豪雪、山形県の気候を利用
山形県は県土面積の約72%を森林が占めており、その約30%はスギ林です。(山形県庁HPより)
外国産の木材輸入が増える中、県産材の有効活用が県内でも注目されています。
しかし、切り出した木材はそのまま使用することができず、乾燥処理を行うことが必要です。
木材の含水率は建築基準法やJASでは人工乾燥では10~20%、天然乾燥でも30%以下が基準とされています。
切り出したばかりの杉材は含水率が120~180%にもなり、省エネルギーかつ有効な乾燥技術が求められています。
そこで、屋根を熱交換器と考え、夏季に太陽熱を高温熱源、冬季に豪雪を低温熱源として利用する技術を開発しています。
低炭素社会・省エネルギーに配慮した木材乾燥施設
外屋根は太陽熱の吸収・熱伝達を考慮した黒色折版を使用し、内屋根は乾燥室とは断熱されています。
乾燥室内と屋根裏との熱交換、室内の空気の加熱・循環にはファンコイルユニットを用います。
ファンコイルユニットの熱源には建築資材の廃材を有効活用しています。
施設内15か所の温湿度データをインターネットを介して遠隔監視しています。
夏と冬で用途を使い分ける屋根熱交換器
夏は太陽熱を屋根に受け屋根裏は50℃以上になります。この空気を乾燥室内に循環することで乾燥室の加熱に利用します。
乾燥室内の温度、夏季は外気温に対し、約10℃ほど高く保つことができ、相対湿度も外環境に比べて安定しています。
冬季は降雪により屋根裏は0℃近くで安定します。乾燥室内にたまった湿度の高い空気を屋根裏に循環することで空気を除湿することができます。
また、乾燥室内だけで空気を循環することができ、気候条件や乾燥段階にも対応できます。
本研究は株式会社沼澤工務店との共同研究で行っており、平成24年度山形県現場の創意工夫プロジェクトのもと行われています。